日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第72回 (2025)
セッションID: 3Bp08
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[3Bp01-09] 加工,製造技術
透過電子顕微鏡(TEM)を用いたココアバターの結晶化過程と微細構造の直接観察
*中村 梨都, 小泉 晴比古, 山﨑 智也, 木村 勇気, 上野 聡
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キーワード: 結晶多形, ココアバター
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抄録

【目的】チョコレートでは,ココアバター(CB)の油脂中にカカオマスや砂糖などの微細な固体粒子が分散している.チョコレートの主成分であるCBは、熱力学的に最も不安定なⅠ型から最安定のⅥ型までの6つの結晶多形をとる.その中でも融点がヒトの体温直下で口どけが良いという点や,スナップ性,安定性などの観点から「Ⅴ型」が最適とされており,CBをⅤ型に結晶化させることが重要である.Ⅴ型を選択的に結晶化させる方法の1つに種結晶添加法がある.この方法では,外部からⅤ型結晶に類似した構造を持つものを結晶化の「種」としてCB融液に投入し全体をⅤ型に結晶化させる.本研究では,種結晶添加法による結晶化過程をTEMで直接観察することで,CBの結晶化挙動をオストワルド段階則の点から明らかにすることを目的とする.【方法】55℃で10分間融解させたCBを撹拌しながら28℃まで冷却させた後,2種類の種結晶(カカオ100%チョコレート2wt%,結晶化促進剤Mycryo1wt%)をそれぞれ投入し,20℃で液体セルを用いた TEM を用いて種結晶周辺での多形転移の様子を2,3時間観察した.TEMにより,CBの電子回折図形を30枚程度撮影した.また,放射光X線回折測定(SR-XRD)でも,種結晶添加後のCBの結晶化過程を20℃で1時間観察した.

【結果】SR-XRDでは先にⅡ型が晶出し後にⅤ型が晶出した.Ⅱ型⇒Ⅲ型⇒Ⅳ型⇒Ⅴ型と転移せず,不安定な結晶多形ほど核形成速度が大きくなり準安定多形から安定多形へ結晶化が推移するという,オストワルド段階則が限定的であった.TEM観察ではⅡ型が晶出した後はⅢ型やⅣ型に多形転移しており,オストワルド段階則が多段階に成立している可能性が示唆された.また,チョコレート粒子を種結晶として用いた場合は,Ⅱ型とⅣ型のスポットが近い方位に現れていて両者の格子定数の類似度から,Ⅱ型からⅣ型への相転移は、トポタキシーが起こっていると考えられる.

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