【目的】カルシウムイオンによるアルギン酸ナトリウム(Na)のゲル化を応用し, 畜肉食感に近い代替肉を作製できることが知られている. しかし, 実際の製造現場を想定して条件検討した研究はまだ報告されていない. 本研究では, 酢酸カルシウム(Ca)溶液に代替肉を浸漬させる工程に着目し, スケールアップした際に起きうる食感の好ましくない代替肉の発生を防ぐ製法を検討した. 【方法】アルギン酸Na, 植物粉末原料, ナタネ油, 塩, 水を均一に混合し, 原料スラリーを調製した. 植物粉末原料には, タンパク源として脱脂大豆粉もしくは分離コメタンパクを用いた. 原料スラリーを代替肉の型となるモールドに流し込み, -20℃の冷凍庫内で凍結させた. その際, 原料スラリーの中心部に防水熱電対が埋め込まれるように設置した. 凍結した原料スラリーを, 4~60℃の酢酸Ca溶液に24時間浸漬し, アルギン酸Naをゲル化させた. 浸漬中, 酢酸Ca溶液中にも防水熱電対を設置し, 防水熱電対を温度記録計(midi LOGGER GL240、GRAPHTEC社)に接続して, 原料スラリー凍結物と酢酸Ca溶液の温度変化を記録した. ゲル化した構造物を酢酸Ca溶液から取り出し、再度同様の条件で凍結した. その後, 流水中で解凍し, 縦断面を観察した. また, 3名のパネラーで得られた代替肉の食感を確認した. 【結果】4℃の酢酸Ca溶液に24時間浸漬した場合, 代替肉の断面には均一で密な空隙構造が形成され, 独特の畜肉食感ではなかった. また, 浸漬開始から酢酸Ca溶液を60℃に30分維持してから4℃に冷蔵放置すると, 断面の中心部と周辺部で空隙構造に相違が確認され, 同様に畜肉食感ではなかった. 一方で, 60℃に温めた酢酸Ca溶液に浸漬してから25℃の外部環境に30分放置し, それから24時間4℃に冷蔵放置すると, 断面に筋状かつ層状の空隙構造が形成され, 畜肉食感を有した代替肉が得られた.