主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第72回大会
回次: 72
開催地: 日本大学生物資源科学部 湘南キャンパス
開催日: 2025/08/27 - 2025/08/29
【目的】玄米はビタミン類,ミネラル,食物繊維などの栄養素を多く含み,血糖値の上昇抑制や糖尿病・高血圧などの生活習慣病予防に資する機能性が多数報告されている.湿熱処理とは,デンプンの完全な糊化には至らない低含水条件下において,短時間の水蒸気加熱を施す加工法であり,我々はこれまでに,米に対する湿熱処理の影響について検討を行い,玄米中の微生物の殺菌,酵素失活,ならびに吸水性向上などの効果を確認している.本研究では,湿熱処理条件が玄米の香気成分に与える影響を明らかにすることを目的とし,玄米の風味改善に寄与する知見を提供することで,玄米の消費促進および利用拡大を図ることを目指す.
【方法】玄米に対して,圧力(0.1〜0.2 MPa)および処理時間(5分,10分)を変数とした複数条件下で湿熱処理を実施した.処理後の玄米は,精米および粉砕を行い,それぞれの処理米を調製した.得られた試料を異なる保存条件下に保存し,香気成分の変化をガスクロマトグラフ‐質量分析計(GC-MS)により定量的に解析した.
【結果】GC-MS分析の結果,白米および玄米のいずれにおいても,主要な香気成分としてOctanalやHexanalなどのアルデヒド類,およびHexanolなどのアルコール類が検出された.これらの成分に注目し,湿熱処理の条件による変化を比較した結果,0.2 MPaで10分間処理を施した玄米試料では,成分濃度が他の条件と比較して最も低くなる傾向が認められた.この結果は,湿熱処理中に玄米が高温水蒸気に曝されることで,香気成分が抽出され,処理後の脱気過程において水蒸気とともに排出されることが要因であると考えられる.以上の結果より,湿熱処理は玄米および米粉に特有の臭気を軽減する可能性が示唆され,玄米製品の食品素材としての利便性向上に貢献することが期待される.