主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第72回大会
回次: 72
開催地: 日本大学生物資源科学部 湘南キャンパス
開催日: 2025/08/27 - 2025/08/29
【目的】大麦に含まれる食物繊維であるβ-グルカンには,食後血糖値上昇抑制や血中コレステロール正常化等の健康機能性が知られている.モチ性大麦にはウルチ性大麦に比べβ-グルカンが多く機能性が注目される一方で,においが強いものや酸味や苦味により食味が劣るものもある.食品を継続的に摂取するためには食味が許容範囲内であることが必要である.そこで炊飯大麦の食味低下の原因を明らかにするため,食味評価を行い,有機酸との関係を調べた.
【方法】2021~2024年に産地や育成地で栽培・収穫した大麦19品種33系統を5か所の試験用搗精機で皮麦55%(一部65%),裸麦60%(一部70%)の歩留まりに搗精した搗精麦計164点を供試した.搗精麦は2.2倍(v/w)加水し25℃で1時間浸漬後,炊飯した.各年次の福井県産ファイバースノウを基準として3名のパネルが外観,におい,食感,味の4項目を―3(とても悪い,かたい)~+3(とても良い,やわらかい)の7段階で評価し,平均値を求めた.また,搗精麦を粉砕した搗精粉に4倍(v/w)の3 mM過塩素酸を加えて有機酸を抽出し,HPLCでクエン酸,リンゴ酸,コハク酸と酢酸の含有量を測定した.
【結果】食味の中で外観はウルチ性が高く(2021,2024年で有意),においはウルチ性が高く(2021,2022年で有意),食感はモチ性がやわらかく(4ヵ年とも有意),味はモチ性が低かった(4ヵ年とも有意).産地と精麦場所が同じ品種・系統の年次間の評価の相関は,食感と味はいずれも有意に高く,再現性よく評価できた.有機酸の中でリンゴ酸含量が最も多く,ウルチ性が11.2±3.1 μmol/gに対しモチ性が14.4±5.4 μmol/gと有意に高かった.リンゴ酸含量は味の評価と有意な負の相関(2022年はr=-0.586(n=32),2023年はr=-0.519(n=40),2024年はr=-0.719(n=40))が見られた.リンゴ酸が炊飯大麦の味の低下の一因である可能性が示唆された.