【目的】国産小麦を使用した麺は外国産小麦製品と比較してその独特な風味が好まれてきた.これまでに我々は,小麦の製粉工程で生成する種皮に近い部分を多く含んだ高灰分ストリーム粉(高灰分粉)の活用によりパンの風味の差別化が可能であることを示した1,2).本研究では,高灰分粉を使用した麺の官能特性,表面物性の変化を確認することで,麺製品の風味の差別化を検討した.
【方法】国産小麦麺用粉及び高灰分粉は星野物産(株)より入手した.国産小麦全粒粉は前田食品(株)より入手した.麺用粉,麺用粉に高灰分粉を10~50%置換したブレンド粉,および麺用粉に全粒粉を10~30%置換したブレンド粉に対して,対粉比で食塩4%・加水36%にて製麺した.この生麺を17分間ゆでることで,ゆで麺試料を得た.分析型官能評価はパネラー6名で行った.麺用粉および高灰分粉50%置換の麺試料を基準とし,パネラー間での合意がとれた各基準試料の特徴を表す単語を官能評価用語とした.パネラーのトレーニング後,各種麺試料を食して,各評価用語を用いて評価した.各種ゆで麺試料の表面物性はクリープメータ2軸物性試験システムを用いて評価した.
【結果】官能評価の結果,高灰分粉および全粒粉で共通して置換割合を増やすと「かたさ」や「味全体の強さ」,「香り全体の強さ」などの評点が増加する傾向が確認された.一方,「ざらつき」や「くすみ」,「ふすま臭」などは全粒粉置換において評点が高い傾向がみられた.表面物性測定の結果,高灰分粉,全粒粉に共通して,置換割合に応じて摩擦応力が増加する傾向が確認された.また,高灰分粉より全粒粉において摩擦応力が高い傾向となった.これらの結果から,全粒粉と高灰分粉では添加した際の麺への影響は異なり,最終製品の設計に応じて使い分けることで地粉風味を増強した麺製品へのニーズに対応が可能となると思われた.
1)成澤et al., 食品科学工学会誌 2023, 2)成澤et al., 食品科学工学会誌 2024