主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第72回大会
回次: 72
開催地: 日本大学生物資源科学部 湘南キャンパス
開催日: 2025/08/27 - 2025/08/29
【目的】 小麦は,食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)の原因食物の約60%を占め,その主なアレルゲンとしてω-5グリアジンが同定されている.我々はこれまでに,加工方法の異なる小麦加工品中のω-5グリアジンについて,SDS-PAGE法およびイムノブロット法で解析を行い,加工による小麦アレルゲンの変化とアレルギー誘発能の違いについて検討してきた.今回,新たな分析手法としてAcid-PAGE(A-PAGE)法を用いて,小麦加工品中のω-5グリアジンをより特異的に検出することを試みた.
【方法】 市販の薄力粉,薄力粉を混捏した生地を沸騰水で茹でたもの,200℃のオーブンで焼いたもの,市販の小麦加工品として冷凍うどんと食パン(白い部分:クラム,耳の部分:クラスト)を試料とした. タンパク質抽出に,PBS溶液,SDS溶液(4% SDS,6M Urea),酢酸溶液(5% 酢酸,4.5M Urea),70%エタノール溶液,2-ME溶液(5% 2-Mercaptoethanol,4% SDS,6M Urea)を用いた.各試料を SDS-PAGE法,イムノブロット法,A-PAGE法を用いて分析し,ω-5グリアジンの存在を3つの分析結果から検討した.
【結果】 市販の薄力粉について抽出溶液の検討を行った結果,SDS-PAGEおよびA-PAGE法でω-5グリアジンのバンドを検出した結果,SDS,酢酸,70%エタノール画分で検出され,70%エタノール画分で最も濃くバンドが検出された.A-PAGE法ではグリアジンのみが検出でき,精製ω-5グリアジンと同じ位置にバンドが検出されたことから,その検出パターンを比較することで,加工条件の違いによるアレルゲンの存在状態の違いを解析できることを確認した. SDS-PAGE法で薄力粉を混捏した生地について解析した結果,茹で生地に比べ200℃で焼いた生地で70%エタノール画分に濃くバンドが検出された. 更に市販の小麦加工品については, 冷凍うどんとクラムに大きな差は認められなかったが,クラストは2-ME溶液画分にて高分子のバンドが多く検出された. 現在これらの試料について,イムノブロット法およびA-PAGE法でω-5グリアジンの解析を進めている.