【目的】アラビアガムは,スーダンやセネガルなど,アフリカ地方に分布しているアカシア属アラビアゴムノキの樹液から得られる増粘多糖類で,主に増粘安定剤として使用されている.構造は,多糖類に少量のタンパク質が結合したプロテオグリカンを持っており,このタンパク質部分にヒドロキシプロリン(Hyp)が多く含まれている.Hypとは特にコラーゲンに多く含有されるアミノ酸であり,摂取後にペプチド態で吸収されることで関節痛軽減などの効果をもたらすことが知られている.本研究では,植物性食品であるアラビアガムが機能性代替ペプチドとして有用であるかを検証した.検証は,ヒト摂取試験と動物投与試験の両方から,血中でHypペプチドが有意に増加するかを調べた.
【方法】ヒト試験は,コラーゲンペプチド(CP)とアラビアガム(GA)をそれぞれ5と10gを水200mlに溶解したものを試験食とし,摂取前と摂取1,2,4時間後に採血を行い,血漿中Hypを定量した.動物試験では,試料中Hyp量を揃えたCP5.9mgとGA250mgを水1mlに溶解し,マウスにゾンデ投与した.投与前, 投与1,2,4時間後に尾静脈より採血を行い,血漿中Hypを定量した.
【結果】ヒト試験では,同一被験者においてCP摂取群は摂取後に血中ペプチド態Hyp量が有意に増加したのに対して,GA摂取群では増加しなかった.マウスでは, CP投与後の血中ペプチド態Hyp量に有意な増加は見られず,遊離・総Hypでは,投与後に有意な増加が確認された. さらに,GA投与後のマウス血中では,総Hypのみ投与後に有意に増加したが,その増加量はCP投与後と比較して1/8程度であった.今回の結果から,ヒト試験の試験食は,CPとGAのHyp当量の違いから,血中Hyp濃度にも大きな差が生じたと考えている.一方で試験食のHyp当量を揃えたマウス試験では,溶解性の問題から投与量が少なかったため明確な血中濃度の増加が確認できなかったのではないかと考えている.今後は酵素処理後のGAを試験食に用いることで,Hypペプチドの血中移行について調べる.