主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第72回大会
回次: 72
開催地: 日本大学生物資源科学部 湘南キャンパス
開催日: 2025/08/27 - 2025/08/29
【目的】食物繊維の一種でエビなどに含まれるキチンを脱アセチル化処理によって得られるキトサンは,水溶性食物繊維として流通している.キトサン低分子分解物であるキトサンオリゴ糖は,食品として様々な機能性が報告されている.しかし,食物繊維やオリゴ糖は摂取後に吸収されないとされているため,腸管以外の吸収後の組織を標的にした効果の望みは薄い.しかし,これまでにオリゴ糖血中移行をヒト試験で,また吸収される構成糖数のオリゴ糖を使用した吸収経路の確認と,組織への作用については検討されていない.そこで本研究ではキトサンオリゴ糖のヒト血中移行と,Caco-2細胞を用いた吸収経路の確認,吸収されたオリゴ糖の皮膚線維芽細胞への影響を調べた.【方法】被験者にキトサンオリゴ糖を摂取して頂き,摂取前後の血漿中のオリゴ糖検出と濃度測定を行った.ヒト腸管上皮細胞モデル株Caco-2,マウス線維芽細胞株NIH/3T3 clone 5611,m5Sを実験に用いた.エンドサイトーシスと能動輸送の阻害,そして細胞間拡張のそれぞれの処理を施したCaco-2細胞管腔側に,2糖と3糖のキトサンオリゴ糖を添加した.0~3時間後に回収した基底膜側溶液中のキトサンオリゴ糖をLC-MSで定量した.コラーゲンゲルを敷いた96wellプレート上に線維芽細胞を播種し,0.1と0.3%のキトサンオリゴ糖混合物,2糖と3糖をそれぞれ添加培養後,0~10日後の生細胞数変化を評価した.【結果】キトサンオリゴ糖摂取後のヒト血中では,2糖と3糖の少糖の濃度が上昇していた.エンドサイトーシスと能動輸送の阻害,そして細胞間拡張処理を施したCaco-2細胞の基底膜側へ透過した2糖と3糖の濃度に変化がなかったため,既に報告されているグルコーストランスポーターを介した吸収であると推察した.NIH/3T3 clone 5611とm5Sの線維芽細胞は,ともに培養6日後以降に細胞数の減少が見られたが,各細胞によって傾向は異なるが0.3%オリゴ糖添加によってその減少が抑制された.