主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第72回大会
回次: 72
開催地: 日本大学生物資源科学部 湘南キャンパス
開催日: 2025/08/27 - 2025/08/29
【目的】糖尿病は網膜症や腎症など深刻な合併症を引き起こす代謝疾患であり,その患者数は2045年には7億8300万人に達すると予測されている.糖尿病の予防には食後血糖値の管理が重要である.我々は,そばアルブミン(BWA)がα-アミラーゼを阻害することで食後血糖値の上昇を抑える作用を持つこと,スパイス由来の水溶性食物繊維(SDF)がグルコースを吸着することを見出している.本研究では,メイラード反応を利用してBWAとSDFを結合させることで,α-アミラーゼ阻害とグルコース吸着能を合わせ持った,血糖値上昇抑制作用の高い新規食品素材を開発することを目的とした.【方法】そば粉から抽出されたBWAとスパイス粉末から抽出されたSDFを1:3の割合で混合し,60℃,75%湿度の条件で48時間インキュベートし,メイラード反応を起こした.その後,ゲルろ過クロマトグラフィーにより反応物を精製した.精製した反応物に対してTNBSアッセイ,CBB染色,および糖鎖染色を行い,BWAへの糖鎖修飾を確認した.また,機能評価としてα-アミラーゼ阻害活性を測定した.【結果】メイラード反応後のBWAは,TNBSアッセイの結果,反応前のBWAと比べてアミノ基含量が減少する傾向を示した.また,CBB染色では,反応前に見られていたバンドの強度が反応後に低下した.糖鎖染色では,SDFの種類によってバンドパターンが異なったが,メイラード反応後のBWAには高分子量領域で新たにバンドが確認された.これらの結果から,BWAはメイラード反応によりSDFによる多糖修飾を受けたことが示唆された.SDFの結合によってBWAのα-アミラーゼ阻害活性は低下したものの多糖修飾BWAはSDF由来のグルコース吸着能を有すると考えられる.したがって,本研究で得られた多糖修飾BWAは,血糖値上昇抑制作用を有する食品成分としての利用が期待される.