主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第72回大会
回次: 72
開催地: 日本大学生物資源科学部 湘南キャンパス
開催日: 2025/08/27 - 2025/08/29
【目的】糖化反応により生じるAGEs (糖化最終生成物) は, 老化や糖尿病合併症, 動脈硬化などの原因となる. 抗糖化として, 食品や飲料によるAGEs生成抑制は有望な対策とされ, ワインもその候補として注目されている. 本研究では, 277銘柄のワインについて, 色やブドウ品種が総ポリフェノール量およびAGEs生成抑制作用に与える影響を明らかにし, さらにAGEs生成抑制作用の強いワインを用いた臨床試験により, 体内への影響を検証することを目的とした.
【方法】フォーリン・チオカルト法によりワインの総ポリフェノール量を定量し, ヒト血清アルブミン–グルコース糖化モデルから蛍光性AGEs生成抑制率およびIC50を算出した. その後, AGEs生成抑制作用が特に強いワインを選定し, 無作為割付非盲検クロスオーバー比較試験を実施. 被験者には, ワインまたは水を週6日・1日125 mL, 4週間摂取させ, 摂取前後の血中AGEsレベルとストレス指標を測定し, 生活習慣アンケートを行った.
【結果】すべてのワインでAGEs生成抑制作用が認められ, 原液~100倍希釈いずれの条件でも総ポリフェノール量と強い相関が得られた (R2 = 0.736 ~ 0.863). IC50は1.24 ~ 99.0 µg / mLの範囲で, AGEs生成抑制作用はオレンジと赤が同程度で最も強く, 次いでロゼ, 白の順に弱かった. 品種別ではサペラヴィが高い総ポリフェノール量を示し, ピノ・ノワール/ピノ・ネロやルカツィテリは低かったものの, IC50には有意差はなかった. これにより, AGEs生成抑制作用には総ポリフェノール量だけでなく, ポリフェノールの構成や有機酸など他の成分の寄与も示唆された. また臨床試験では, 特に女性被験者においてワイン摂取後の血中AGEsを減少させる傾向が見られ (p = 0.07), 紫外線曝露や便秘, ストレスが効果を減弱させる可能性も示唆された.