日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第72回 (2025)
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シンポジウムA1: 産官学連携シンポジウム「持続可能性を高める新たなものづくり技術」 (産官学連携委員会・一般財団法人旗影会共催 後援:農林水産省)
バイオ・デジタル融合によるバイオものづくり実現の加速
*近藤 昭彦
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p. 9-

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抄録

【講演者の紹介】

 近藤昭彦(こんどうあきひこ):株式会社バッカス・バイオイノベーション代表取締役社長

 略歴:1988京都大学大学院化学工学専攻博士後期課程修了(工学博士)、1988年九州工業大学工学部応用化学科講師、2003年神戸大学工学部応用化学科教授、2016年神戸大学科学技術イノベーション研究科研究科長・教授、2020年理化学研究所環境資源科学研究センター・副センター長(併任)、2021年神戸大学副学長、2025年神戸大学名誉教授・学長補佐、2024年株式会社バッカス・バイオイノベーション代表取締役社長

 バイオテクノロジーを活用したものづくり“バイオものづくり”は飛躍的な発展を遂げつつあり、バイオものづくり革命の様相を呈している。バイオものづくりは、医療・ヘルスケア分野、エネルギー分野、工業ものづくり分野、食料分野など広範な領域に及んでいる。OECDやマッキンゼーが市場予測をしているが、2030年で200‐400兆円規模になると言われている。食料分野においても近年、微生物や微細藻類を活用した代替たんぱく質生産や精密発酵技術など、バイオものづくりの最先端技術の活用が進められている。世界的な食糧不安の問題、食の安全(特に日本は安全保障上も重要である)、温室効果ガスの排出削減などの観点からも、最近注目が集まっている。例えば、シンガポールは戦略的にフードテックを推進している。

 このバイオものづくり革命の流れを加速しているのが、バイオ・デジタル融合による技術革新であり、物質生産のための微生物育種の期間を大幅に短縮することが可能です。すなわち、ゲノム解読技術やゲノム合成・編集技術等の先端バイオ技術とIT、AI技術やロボット技術を融合(「バイオ・デジタル」融合)して誕生した、技術分野Engineering Biologyであり、各種要素技術を集積した革新的なプラットフォームがバイオファウンドリ技術です。バイオファウンドリは、DBTLシステムとして構成されるが、コンピューターによる微生物設計技術(Design:D)、ロボティックス技術を活用して自動化された組換え微生物構築技術(Build:B)、迅速・高精度な生産物やオミックス評価技術(Test:T)、さらなる微生物設計の高度化のための機械学習や数理モデリング(Learn:L)等の先端技術を統合したものです。このDBTLサイクルで得られるデータをシステム内に集積してデータベースや知識ベースを構築し、データ駆動・AI駆動の開発とすることで、全体の開発時間のさらなる短縮が可能です。さらに、スケールアップにおける開発を加速する製造プロセス開発のバイオファウンドリも構築されつつあります。最終的にはDBTLバイオファウンドリと生産プロセス開発バイオファウンドリを一体化させる“統合バイオファウンドリ”構築が重要です。

 折しも、グリーンイノベーション基金ではCO2からのバイオものづくりに約1700億円、バイオものづくり革命推進事業では、廃棄物等の未利用資源からのバイオものづくりに3000億円の基金予算が付き、日本において重要な二つの領域の研究が強力に推進されている。両事業では、バイオプラスチック、バイオ燃料、機能性素材、食品など、多様なターゲット物質生産の実用化・事業化に向けた研究開発が進められている。ここで、カギとなるのが“統合バイオファウンドリ”技術です。統合バイオファウンドリで、CO2や未利用資源からのバイオものづくりを迅速に実現できれば、カーボンリサイクルやサーキュラーエコノミーの実現による持続可能な社会の構築、そしてプラネタリーヘルスの増進に大きく貢献する。 本講演では、統合バイオファウンドリ開発の現状と、バイオものづくりの実現によるGXの推進に関して述べる。

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