主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第72回大会
回次: 72
開催地: 日本大学生物資源科学部 湘南キャンパス
開催日: 2025/08/27 - 2025/08/29
【目的】
澱粉を主成分とする食品では,低温保蔵中に澱粉老化が進行し,品質維持が困難となることが課題である.発表者らはこれまでに,加水量の異なる米ゲルを対象として,粥添加が澱粉老化に及ぼす影響を評価し,加水量の違いにより,粥添加の老化抑制効果が変化することを明らかにした.また,先行研究では,粥中のアミロースが糊化前澱粉粒を包含することで,糊化中の過度な膨潤を抑制したと報告されている.そこで本研究では,粥にアミロース含量の異なる米粉を用いた米ゲルについて,X線回折 (XRD) , 小角X線散乱測定 (SAXS) を用いて解析し,アミロースが粥添加による澱粉老化挙動に及ぼす影響を解明することを目的とした.
【方法】
米粉と水の比率を1:2(w/w)とし,米粉のうち,0~20%を粳米粉または糯米粉の粥で置換した米粉分散液を100℃で30分間オートクレーブ処理し,米ゲルを作製した.作製後は15℃で0~4日間貯蔵した.XRD測定には,凍結乾燥粉末試料を用い,得られた17°ピーク面積から老化度を算出した.また,ナノスケールの澱粉凝集挙動を把握するため,あいちシンクロトロン光センター(BL8S3) にてSAXS測定を実施した.
【結果】
XRD測定より,貯蔵日数の増加に伴い,すべての試験区で老化度が増加する傾向がみられた.粳米粉粥・糯米粉粥を添加した試料では,無添加区と比較して,いずれも貯蔵中の再結晶化が抑制される傾向がみられた.また,SAXS解析では,貯蔵2日目において,凝集体の回転半径(Rg)は,粥無添加区で約4.8 nmであったが,粳米粉粥ゲルのRgは粥濃度に関わらず約2.4 nmとなり,糯米粉粥ゲルは粥濃度が小さくなる程,Rgも小さくなる傾向がみられた.以上より,粥中のアミロース含量は再結晶化に及ぼす影響は小さいが,ナノスケール凝集挙動に違いがみられたことから,階層ごとで影響が異なることが示唆された.