日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
腹部分枝debranching後に上腸間膜動脈塞栓術を追加した胸腹部大動脈瘤ハイブリッド手術の1例
高松 正憲古川 浩二郎蒲原 啓司田中 厚寿岡崎 幸生森田 茂樹
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2012 年 21 巻 2 号 p. 153-156

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抄録
症例は79歳女性.8年前に胸部下行大動脈瘤に対して,人工血管置換術後.慢性閉塞性肺疾患と慢性腎不全の合併あり.造影CTで人工血管吻合部末梢の下行大動脈と腎動脈分岐後腹部大動脈の拡大を認め,手術となった.最初に,開腹下にYグラフトによる腹部大動脈人工血管置換術を施行,その左脚に4分枝管グラフトを吻合して,腹部分枝動脈のdebranchingを行った.術後の血管造影で上腸間膜動脈(SMA)の結紮部より大動脈側に分枝の残存を認めた.SMAからのエンドリークを回避させて,残存分枝の虚血がないように,経カテーテル的にSMA中枢部の塞栓術を行った.二期的に遠位弓部から胸腹部大動脈にかけてステントグラフト(SG)内挿術を施行,術後に対麻痺などの合併症なく退院した.Debranching法によるハイブリッド手術はハイリスク症例に対して有効であるが,腹部大動脈の屈曲例や動脈瘤の腹側への突出例では,腹部分枝の根部結紮が困難な場合があり,注意を要する.
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