主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第72回大会
回次: 72
開催地: 日本大学生物資源科学部 湘南キャンパス
開催日: 2025/08/27 - 2025/08/29
【目的】糠漬けは,日本で古くから食されてきた漬物で伝統的な発酵食品の一つである.糠漬けは,米糠に水と食塩などを加えて調製し,様々な野菜を漬け込んで製造される.その過程で発酵が進み,風味や香りが向上するだけでなく,消化吸収の促進,腸内環境の改善などの健康効果が報告されている.先行研究においては,発酵熟成した糠床に野菜を漬けることによってγ-アミノ酪酸(GABA)等の機能性成分が増大することを見出した.本研究では,糠床を低温下で効率よく発酵する乳酸菌の探索とメタボローム解析による発酵中の機能性成分の解析を行い,低温耐性かつ菌叢を維持する乳酸菌を用いて機能性を付与する糠床を開発することを目的とした.
【方法】熟成糠床から単離した12種類の乳酸菌を低温耐性試験と糖類発酵性試験によって,4つのグループに分けた.これらの菌株を再度,糠床適応試験および低温耐性試験により菌株を選抜した.単離した乳酸菌を水分率60〜70%,塩分率5%に調製した糠床(300g)の予備発酵を行なった.pHの低下を確認した後,熱水処理した糠と混合し水分率60〜70%,塩分率5%の糠床(1kg)を調製した.この糠床に野菜を漬け込み,適宜サンプリングを行なった.メタノール/クロロホルム/水の混合溶媒で抽出した糠床および漬けた野菜のメタボローム解析を行なった.さらに,糠床の菌叢解析を行なった.
【結果】糠床に適した低温耐性乳酸菌を4種類選抜した.水分量を60〜70%,塩分率を5%に調製した糠床では,4種の乳酸菌は全ての条件で早期にpHの低下が見られた.糠床の水分量は,床の固さから65%が上限であった.メタボローム解析の結果,発酵初期から機能性アミノ酸のオルニチンやGABA,コリン化合物である,アセチルコリンの増大が見られた.