【目的】
モモは福島県における主要生産果実であり,生食および加工ともに用いられている.モモは品種によって様々な外観を呈しており,白桃系品種や黄肉系の品種群が存在し,白桃系品種の果肉にはプロシアニジン類やクロロゲン酸などのポリフェノール類,黄桃系品種にはゼアキサンチンやβカロテンなどのカロテノイド類を含むことが報告されている. 昨今では,農産物の高付加価値化として「生理機能性」が重要視されている.ポリフェノール類には,多様な生体調節機能が報告されており,多くの研究が進められている注目すべき機能性成分である.しかしながら,モモにおいて,ポリフェノール成分の詳細やその機能性について,品種別に評価した報告は未だ少ないのが現状である.本研究では,福島県産モモのポリフェノール類の分析を行い品種別の成分特徴や含有量について検討するとともに,抗酸化能との相関について検討した.
【方法】
福島県産モモ12品種の総ポリフェノール含有量をフォーリン–チオカルト法により分析し,さらにHPLCを用いて詳細なポリフェノール成分の分析を行った.加えて,食品の抗酸化能評価法として広く用いられているDPPHラジカル消去能測定法およびSOD活性測定法により,各品種の抗酸化力を評価した.これらの結果を基に,各成分の含有量および品種別の特徴などを明らかにした.
【結果】
フォーリン–チオカルト法による総ポリフェノール量の測定では,天津桃が極めて高い値を示し,黄貴妃および黄金桃においても高い値が認められた.HPLCによる成分分析の結果,天津桃,黄金桃,黄貴妃ではプロシアニジン類の含有量が多く,DPPHラジカル消去能測定法およびSOD活性測定法においても,天津桃およびこれらの黄桃品種で抗酸化能が高い傾向が確認された.これらの結果から,プロシアニジン類の含有量と抗酸化能の間には相関関係が認められた.なお,現在は抗酸化能のさらなる評価のため,ORAC法による解析を進めている.