2007 年 35 巻 Supplement 号 p. 23-33
今までまれな現象であると思われていた内在性アンチセンスRNAの発現 (ゲノム上の同一領域でありながらセンス鎖とアンチセンス鎖の両鎖からRNAが転写される現象) は、近年の大規模ゲノム・トランスクリプトーム解析より多くの生物において頻繁に起こる普遍的な現象であることが判明した。このRNAは細胞内で二本鎖形成を介した遺伝子発現制御を行っている可能性があり、またタンパク質をコードしない非翻訳性のRNAである場合も多いため、興味を持たれている生体分子である。本稿ではマウスにおける内在性アンチセンス解析の結果明らかになった新規特徴を概説したい。