黒毛和種の経済形質に関わるゲノム領域を明らかにするために、共同研究機関と共同で、種雄牛について産子200頭以上からなる半きょうだい家系を多数構築し、QTLマッピングを行った。その結果、黒毛和種のゲノムには、多くの選抜可能なQTLが存在することがわかった。現在、3つの脂肪交雑QTL (
Marbling-1, 2, 3) と2つの枝肉重量QTL (
CW-1, 2) について、相関解析などの手法で領域を絞り込み、責任遺伝子の同定を試みている。
CW-1では、限定した1.1Mb領域内の遺伝子についてトランスジェニックマウスを作成し、成長への影響を調べている。
CW-2については、600kbの候補領域内の遺伝子にアミノ酸置換を起こすSNPを見出した。また、
Marbling-3については、特定地域集団を用いた相関解析により約2cMの領域に限定し、さらに領域を絞り込むべく、大規模一般集団での相関解析を行っている。一方、一塩基多型 (SNP) の大量解析装置が市販されるようになったことから、これを用いて、脂肪交雑に関するゲノムワイド相関解析を試みた。今後、より高密度のSNPが解析できるようになれば、マッピングに威力を発揮することが期待される。
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