動物遺伝育種研究
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35 巻, Supplement 号
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  • 石川 俊平
    2007 年 35 巻 Supplement 号 p. 1-11
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2010/03/18
    ジャーナル フリー
    通常ヒトの細胞には遺伝子は2個 (2コピー) あり、片方は父方、もう片方は母方に由来すると考えられてきた。しかし近年、個人によっては1個の細胞あたりに存在する遺伝子が1コピーであったり、あるいは3コピー以上存在するといった遺伝子の数の個人差 (コピー数多型=Copy Number Viariation: CNV用語 (1) ) があることが判明し注目されている。疾患のリスク、様々な薬の治療応答性、副作用の違いといった個人の体質差を生み出す原因として、これまではSNP (一塩基置換多型) に代表される個人間の遺伝子の“配列の違い”が良く知られているが、近年見つかってきたCNVは遺伝子の“数の違い”であり遺伝子をまるごと含むような数Kbp~数Mbpの長さの大きな領域の数が個人間で異なるというものである。
  • 高須賀 晶子
    2007 年 35 巻 Supplement 号 p. 12-21
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2010/03/18
    ジャーナル フリー
    黒毛和種の経済形質に関わるゲノム領域を明らかにするために、共同研究機関と共同で、種雄牛について産子200頭以上からなる半きょうだい家系を多数構築し、QTLマッピングを行った。その結果、黒毛和種のゲノムには、多くの選抜可能なQTLが存在することがわかった。現在、3つの脂肪交雑QTL (Marbling-1, 2, 3) と2つの枝肉重量QTL (CW-1, 2) について、相関解析などの手法で領域を絞り込み、責任遺伝子の同定を試みている。CW-1では、限定した1.1Mb領域内の遺伝子についてトランスジェニックマウスを作成し、成長への影響を調べている。CW-2については、600kbの候補領域内の遺伝子にアミノ酸置換を起こすSNPを見出した。また、Marbling-3については、特定地域集団を用いた相関解析により約2cMの領域に限定し、さらに領域を絞り込むべく、大規模一般集団での相関解析を行っている。一方、一塩基多型 (SNP) の大量解析装置が市販されるようになったことから、これを用いて、脂肪交雑に関するゲノムワイド相関解析を試みた。今後、より高密度のSNPが解析できるようになれば、マッピングに威力を発揮することが期待される。
  • 清澤 秀孔
    2007 年 35 巻 Supplement 号 p. 23-33
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2010/03/18
    ジャーナル フリー
    今までまれな現象であると思われていた内在性アンチセンスRNAの発現 (ゲノム上の同一領域でありながらセンス鎖とアンチセンス鎖の両鎖からRNAが転写される現象) は、近年の大規模ゲノム・トランスクリプトーム解析より多くの生物において頻繁に起こる普遍的な現象であることが判明した。このRNAは細胞内で二本鎖形成を介した遺伝子発現制御を行っている可能性があり、またタンパク質をコードしない非翻訳性のRNAである場合も多いため、興味を持たれている生体分子である。本稿ではマウスにおける内在性アンチセンス解析の結果明らかになった新規特徴を概説したい。
  • 工藤 明
    2007 年 35 巻 Supplement 号 p. 34-40
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2010/03/18
    ジャーナル フリー
    我々はメダカ突然変異体のスクリーニングにより、中胚葉組織・細胞である、骨、心臓血管・血球、ヒレの変異体を166種類を得、さらにその53種類をライン化し、その中で特に興味深い20種類について候補遺伝子の同定を行っている。赤血球形成異常の変異体whoの原因遺伝子はENU変異体としては世界で初めて、原因遺伝子が同定され、その産物はヘモグロビンの合成酵素ALADであった。またヒレ伸張が異常な変異体の原因遺伝子は転写因子であるhoxb8であった。Hob8は伸張に関与するwnt5な発現を制御していることが明らかになった。またメダカ尾ビレ再生関連遺伝子として6種類同定され、その中の1つはヒレ再生1日目と咽頭歯再生領域に発現が見られ、再生特異的に発現する遺伝子であった。
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