日本企業は短期的な業績回復を目指し,人件費の削減,本社機能の縮小を進め,競争力を失ってきた。このような状況を反映し,企業戦略論の有効性が問われている。これまで企業戦略論の領域では,経営資源や企業の競争力,強みについての議論が展開されてきたが,それら議論は今日の企業経営にとって,実践的な有効性を十分に保有していない。多角化企業の競争優位にとって,重要な役割を果たすのが本社組織である。今後,日本企業は長期の経営計画などの戦略方針の決定と共に,主要な投資先の決定が本社の重要な役割であることを再認識する必要がある。また,そのようなことを行う本社の戦略調整能力を企業の重要な経営資源と捉え,それを明らかにする理論的枠組みと共に,実践に応用できる分析枠組みが必要とされている。ペアレンティングはそのための有効な概念の一つである。