經營學論集
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第89集 日本的経営の現在─日本的経営の何を残し,何を変えるか─
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自由論題
(48) 上場会社のガバナンスから見た日本的経営
──何を残そうとし,何を変えようとしてきたのか──
*黒川 秀子
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p. F48-1-F48-7

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抄録

本稿では,「日本企業は何を残そうとし,何を変えようとしてきたのか」,コーポレート・ガバナンスの側面から明らかにすることを目的とした。

 その特徴を「三種の神器―終身雇用,年功賃金,企業別労働組合」とするならば,「日本的経営」は依然健在である一方,コーポレート・ガバナンスは株主主権型に傾斜し,9割以上の上場会社が2名以上社外取締役を設置するに至った。しかし,監督と執行の分離が形式上整った指名委員会等設置会社は東証一部上場会社の3%が選択しているにすぎない。

 組織形態の選択は会社の根幹に関わる問題である。日本におけるコーポレート・ガバナンスの展開を,「社外からの監視」概念の導入,「監督・意思決定と業務執行の分離」の概念の導入,近年のガバナンス改革と辿り,「日本企業は経営層の報酬・人事決定権を残そうとし,社内の人間だけで経営するという形態は変えようとしてきた」と結論した。さらに,日本的経営の特徴は,「会社を動かすのは,株主ではなく,経営者と配下の従業員である」という意識にあると考えられた。

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