日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌
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ワイヤー方式の電気牧柵の構成要素がヤギの忌避行動に及ぼす影響
柿原 秀俊石若 礼子増田 泰久中野 豊泉 清隆堀江 ちひろ古澤 弘敏下條 雅敬
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キーワード: 脱柵, 電気牧柵, 忌避行動, ヤギ
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2015 年 51 巻 3 号 p. 121-130

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抄録
ヤギはワイヤー方式の電気牧柵に対する忌避学習をする際に、架線に加えて支柱が彼らの忌避に影響を及ぼしているという仮説を検証するため、2つの実験を行った。まず始めに、ヤギの電気牧柵に対する忌避が架線のみに起因するのかどうかを確認するために、パドックの両側柵を結んで立てた全ての支柱に一本の架線が取り付けられた牧柵に対するヤギの反応(C区)を全長の半分にのみ架線が取り付け、架線を避けて通過できるようにした牧柵に対するそれと比較した(L区およびR区)。しかし、いずれの処理区においてもヤギは牧柵を通過しなかった。次に、ヤギがワイヤー方式の電機牧柵のどの構成要素を忌避しているかを特定するために、ヤギが警戒を示さなくなった支柱(馴致支柱)および絶縁された支柱(電牧支柱)、架線を組み合わせて4つの処理区を設け、それらに対するヤギの反応を比較した。それぞれの処理区の牧柵は、馴致支柱のみ(F区)、馴致支柱および架線(W区)、馴致支柱および電牧支柱(P区)、馴致支柱および架線・電牧支柱(WP区)を用いて作成した。その結果、各処理区の全観察のうち、ヤギはF区では94%、W区では44%、P区では25%、WP区では6%の頻度割合で牧柵を通過した。この結果は、架線と同様に、電牧支柱もヤギのワイヤー方式の電気牧柵に対する忌避学習に影響を及ぼしていることを示している。
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© 2015 日本家畜管理学会・応用動物行動学会
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