日本消化器内視鏡学会雑誌
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総説
食道表在癌の深達度診断
千野 修幕内 博康島田 英雄小澤 壯治中村 直哉今井 裕
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2015 年 57 巻 5 号 p. 1243-1253

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抄録
表在型食道扁平上皮癌について本邦における内視鏡検査を中心とした腫瘍形態学と深達度診断の現状について述べた.食道表在癌は深達度によって病態が異なるため,治療方法を選択する上で深達度診断は最も重要である.食道癌は予後不良な癌腫であるが,標準的外科治療である食道亜全摘術は手術侵襲が高度でありQOL低下が危惧される.しかし,早期食道癌として発見されEMR・ESDが施行できれば低侵襲な食道温存治療として根治できる可能性が高い.深達度診断においては通常内視鏡観察による形態学的診断が基本となるが,画像強調であるnarrow band imaging(NBI)を併用した拡大内視鏡検査と日本食道学会拡大内視鏡分類による微細血管分類,超音波内視鏡検査や食道X線造影検査を施行することにより総合的に深達度診断を行うことが正診率向上のために重要である.
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© 2015 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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