論文ID: 202603.001
IMC(Instructional Manipulation Check)やDQS(Directed Question Scales)などの不注意・努力不足回答を識別するトラップ質問は、現代の調査研究で多くの研究者や実務家に使用されている。一方で、これらには「トラップ質問に調査の冒頭で接した回答者は、その後の質問に注意深く回答する」という波及的な注意喚起効果が期待できる可能性がある。しかし、この効果の存在は一部の研究で指摘されてきたものの、一貫した研究知見が得られてこなかった。そこで本研究では、行動ログと調査回答が紐づいたデータを使い、実行動と比較して回答が事実に近づくかという新しいデータ品質の評価指標を用いて、この効果を再検討した。具体的には、実際の調査フィールド上での実験を行い、IMCとDQSを回答精度を評価する質問の先と後に配置した、2×2の4群のデータを収集し、回答傾向の違いを分析した。分析の結果、IMCには注意喚起効果があり、回答者が調査の冒頭でIMCに触れると、その後回答精度が高まることを示した。しかし、DQSには注意喚起効果があるとはいえなかった。これらに基づき、現代の調査環境が抱える課題に対する示唆を提示した。