接着歯学
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ワンボトルセルフアドヒーシブの被着面の違いによる接着強さ
英 將生秋本 尚武桃井 保子
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2005 年 23 巻 3 号 p. 202-213

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抄録

最近, 接着に関わるすべての成分をワンボトルにしたワンボトルセルフアドヒーシブが, 各メーカーで開発され, 市販されている.このワンボトルセルフアドヒーシブの接着強さが, 象牙質被着面の性状から受ける影響を知るために, 微小引張り接着試験とFE-SEM観察から評価検討を行った.抜去ヒト大臼歯の象牙質露出面で耐水研磨紙#180, #600および鏡面研磨の3種類の被着面を作製し, 4種類のワンボトルセルフアドヒーシブの微小引張り接着強さの測定を行った.また, 微小引張り接着試験と同様に作製した試料からFE-SEM観察も行った.微小引張り接着試験の結果から, #180, #600および鏡面研磨の異なる象牙質被着面に対する4種類の各ワンボトルセルフアドヒーシブの微小引張り接着強さに有意差は認められなかった.また, FE-SEM観察の結果から, 被着面によって樹脂含浸層と思われる構造の厚みは異なるものの, 象牙質にアドヒーシブが浸透, 拡散している様子が観察された.以上の結果から, 今回使用したワンボトルセルフアドヒーシブの接着強さは, スミヤー層の性状の異なる象牙質被着面の影響を受けないことが示唆された.

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© 日本接着歯学会
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