接着歯学
Online ISSN : 2185-9566
Print ISSN : 0913-1655
ISSN-L : 0913-1655
23 巻, 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 高畑 安光, 糸田 俊之, 土居 潤一, 田中 久美子, 西谷 佳浩, 吉山 昌宏
    2005 年 23 巻 3 号 p. 183-189
    発行日: 2005/12/05
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    セルフエッチングプライマー接着システムにおける歯面処理時間の短縮がエナメル質および象牙質の接着性に及ぼす影響について検討を行った.ヒト抜去健全小臼歯にエナメル質または象牙質被着面を作製し, Clearfil Mega Bond (MB) およびOne-up Bond F (OBF) を用いて被着面に対して20, 10, 5秒間の歯面処理を行った接着試料体を作製した.その後, マイクロテンサイル法を用いた引張り接着強さを測定した.その結果, MBおよびOBFともにエナメル質への歯面処理時間短縮の影響は認められなかった.一方, 象牙質に対する接着強さでは, MBの20秒と10秒処理群以外は歯面処理時間の短縮に伴い接着強さは有意に低下した.以上より, 臨床においてセルフエッチングプライマー接着システムのエナメル質および象牙質に対する接着性能を十分発揮させるためには処理時間を遵守することが重要であることが示唆された.
  • ボンディング材の厚みが引張り接着強さと窩壁適合性に与える影響
    清村 正, 弥安田 登
    2005 年 23 巻 3 号 p. 190-201
    発行日: 2005/12/05
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 接着強さならびに窩壁適合率に及ぼすボンディング材層の厚みの影響を明らかにすることにある.2ステップ型セルフエッチングボンディングシステム (ユニフィルボンド: UB, インパーバフルオロボンド: FBならびにクリアフィルメガボンド: MB) と1ステップ型セルフエッチングボンディングシステム (AQボンドプラス: AQP, ワンナップボンドF: OUBならびにリアクトマーボンド: RMB) からなる合計6製品を使用した.ボンディング材の厚みは取扱説明書に準じて行い, ボンディング材塗布後にスリーウェイシリンジを用いてエアブローの強さで制御した.その結果, 次の結論を得た.
    び象牙質に対する引張り接着強さ (TBS) はUBでは10.1, 9.3MPa, FBでは11.4, 8.9MPa, MBでは13.4, 13.6MPa, AQPでは13.3, 13.4MPa, OUBでは12.5, 12.1MPaそしてRMBでは13.5, 11.9MPaであった.
    2.AQPを除いて, 他の5種のボンディングシステムは強圧エアブローによってボンディング材層が有意に薄くなった.取扱説明書どおりのエアブローに強圧エアブローを加えることによるボンディング材層の厚さは, UBでは63.9→3.3μm, FBでは66.6→2.1μm, MBでは73.1→5.8μm, AQPでは2.5→1.3μm, OUBでは93.5→1.1μm, RMBでは68.7→2.5μmであった.
    3.いずれのボンディングシステムにおいてもエナメル質へのTBSには, 強圧エアブローの影響は認められなかった.4.強圧エアブローによって, OUBの象牙質に対するTBSと, UBならびにOUBの窩壁適合率は統計学的に有意に低下した.
    5.MB, AQPならびにRMBは強圧エアブローによってもTBSおよび窩壁適合率に大きな影響を与えなかったことから, エアブローによるテクニックセンシティビティが少ない製品であるとの結論に至った.
  • 英 將生, 秋本 尚武, 桃井 保子
    2005 年 23 巻 3 号 p. 202-213
    発行日: 2005/12/05
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    最近, 接着に関わるすべての成分をワンボトルにしたワンボトルセルフアドヒーシブが, 各メーカーで開発され, 市販されている.このワンボトルセルフアドヒーシブの接着強さが, 象牙質被着面の性状から受ける影響を知るために, 微小引張り接着試験とFE-SEM観察から評価検討を行った.抜去ヒト大臼歯の象牙質露出面で耐水研磨紙#180, #600および鏡面研磨の3種類の被着面を作製し, 4種類のワンボトルセルフアドヒーシブの微小引張り接着強さの測定を行った.また, 微小引張り接着試験と同様に作製した試料からFE-SEM観察も行った.微小引張り接着試験の結果から, #180, #600および鏡面研磨の異なる象牙質被着面に対する4種類の各ワンボトルセルフアドヒーシブの微小引張り接着強さに有意差は認められなかった.また, FE-SEM観察の結果から, 被着面によって樹脂含浸層と思われる構造の厚みは異なるものの, 象牙質にアドヒーシブが浸透, 拡散している様子が観察された.以上の結果から, 今回使用したワンボトルセルフアドヒーシブの接着強さは, スミヤー層の性状の異なる象牙質被着面の影響を受けないことが示唆された.
  • 杉崎 順平, 森上 誠, 宇野 滋, 山田 敏元
    2005 年 23 巻 3 号 p. 214-217
    発行日: 2005/12/05
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    2001年, デンツプライ三金により開発されたXeno CF II Bondは2ボトルタイプのワンステップセルフエッチングアドヒーシブシステムであり, フッ素徐放性のホスファゼンモノマーを含んでいる.本研究ではこのXeno CF IIボンディングシステムと, 同じくフッ素徐放性修復材料であるXeno CFレジンを用いた修復物の短期的臨床評価を行った.2名の術者によって30名の被験者に対し30本のV級または懊状欠損窩洞が歯質を極力保存するように形成され, 本システムを用いて修復が施された.べースラインとして修復直後にADAの評価基準に基づいて臨床的に評価された修復物は, その後18カ月後まで定期的にリコールされ, 同様に評価が行われた.その結果, 18カ月後までの期間すべての修復物はAlphaと評価され, BravoまたはCharlieと評価されたものは1例もなかった.本システムにおけるKaplan-Meierの生存率は1.00であり, 18カ月後までの短期的臨床経過は良好であることが判明した.MIによる修復を可能にする有効な修復システムであると考えられた.
  • 山本 聖子, 杉崎 順平, 宇野 滋, 山田 敏元
    2005 年 23 巻 3 号 p. 218-223
    発行日: 2005/12/05
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    松風より従来販売されているインパーパフルオロボンドの接着性モノマーは4-AET, 4-AETAであるが, ボンディング材の接着機能をさらに向上させるために新しい機能性モノマーとして, カルボン酸系モノマーとリン酸系モノマーを用いた2ステップレジンボンディング材が開発された.本研究ではこの試作レジンボンディング材 (SIR20401) と同社の試作コンポジットレジン (SI-R20402G) を併用し, ヒト新鮮抜去歯を用いてエナメル質および象牙質との接着界面についてArイオンエッチング後にFE-SEM観察し, 接着性および臨床有用性について検証した.その結果, この試作2ステップレジンボンディング材は, エナメル質, 健全象牙質, う蝕除去後の象牙質に対して十分な接合状態を示すと同時に, 試作ボンディング材と試作コンポジットレジンの強固な結合により, 臨床において有用な材料となりうることが示唆された.
  • 医療・教育検討委員会
    2005 年 23 巻 3 号 p. 224-230
    発行日: 2005/12/05
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
feedback
Top