本研究の目的は, 接着強さならびに窩壁適合率に及ぼすボンディング材層の厚みの影響を明らかにすることにある.2ステップ型セルフエッチングボンディングシステム (ユニフィルボンド: UB, インパーバフルオロボンド: FBならびにクリアフィルメガボンド: MB) と1ステップ型セルフエッチングボンディングシステム (AQボンドプラス: AQP, ワンナップボンドF: OUBならびにリアクトマーボンド: RMB) からなる合計6製品を使用した.ボンディング材の厚みは取扱説明書に準じて行い, ボンディング材塗布後にスリーウェイシリンジを用いてエアブローの強さで制御した.その結果, 次の結論を得た.
び象牙質に対する引張り接着強さ (TBS) はUBでは10.1, 9.3MPa, FBでは11.4, 8.9MPa, MBでは13.4, 13.6MPa, AQPでは13.3, 13.4MPa, OUBでは12.5, 12.1MPaそしてRMBでは13.5, 11.9MPaであった.
2.AQPを除いて, 他の5種のボンディングシステムは強圧エアブローによってボンディング材層が有意に薄くなった.取扱説明書どおりのエアブローに強圧エアブローを加えることによるボンディング材層の厚さは, UBでは63.9→3.3μm, FBでは66.6→2.1μm, MBでは73.1→5.8μm, AQPでは2.5→1.3μm, OUBでは93.5→1.1μm, RMBでは68.7→2.5μmであった.
3.いずれのボンディングシステムにおいてもエナメル質へのTBSには, 強圧エアブローの影響は認められなかった.4.強圧エアブローによって, OUBの象牙質に対するTBSと, UBならびにOUBの窩壁適合率は統計学的に有意に低下した.
5.MB, AQPならびにRMBは強圧エアブローによってもTBSおよび窩壁適合率に大きな影響を与えなかったことから, エアブローによるテクニックセンシティビティが少ない製品であるとの結論に至った.
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