2000 年 36 巻 1 号 p. 2-9
原子間力顕微鏡 (AFM: Atomic force microscope) を用いて,サブミクロンサイズのフォトレジストパターンの接着および凝集性解析を試み,この手法の妥当性を議論する。 フォトレジストパターンとして,平坦基板上の高さ1.01μm, 幅0.60μmのドット形状のものを一個選択し,微細探針から直接荷重を掛けながら走査することで倒壊させる。そして,倒壊に要した荷重,および倒壊直前のパターン歪みを測定する。 このパターン歪み測定と有限要素法による応力変形解析との組み合わせにより,界面剥離を引き起こす要因となった内部応力およびパターンのヤング率を算出する。 これらの値は,フォトレジストパターンの熱処理温度の増加に伴って大きくなることが分かった。 この傾向は,フォトレジスト膜の熱重量 (TG) と硬度および屈折率などの熱処理温度依存性と密接な相関を示しており,本手法の妥当性を確認した。本手法は,フォトレジストパターンなどの微細構造体の接着および凝集特性を直接解析する上で有効である。