日本接着学会誌
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研究論文
発泡ポリスチレン製容器からのホスホニウム基を有す盲樹脂の合成とそのアニオンj性有機化合物の選択吸着能
森武 いずみ野中 崇弘栗原 清二木田 建次野中 敬正
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2000 年 36 巻 7 号 p. 272-278

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抄録

使用済発泡ポリスチレン製食品容器を再溶解,沈殿させた粉末状ポリスチレンをクロロメチルスチレンおよびトリアルキルホスフィンと反応させることにより,ホスホニウム基を有する粉末状の樹脂を合成した。トリアルキルホスフィンとしてトリエチルホスフィン(TEP),トリブチルホスフィン(TBP),トリオクチルホスフィン(TOP)を用い.3種の樹脂PCS-TEP.PCS-TBP.PCS-TOP*得られた。これらの樹脂を用いて,食用色素である赤色102号,黄色4号,ベンゼンスルホン酸ナ岸リウム(SBS).ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)に対する吸着挙動について調べた。PCS-TEPとPCS-TBPは高濃度食塩溶液から食用色素(赤色102号,黄色4号)に対して高い吸着性を示した。SBSの吸着量は無機塩の添加により減少したことから,静電的相互作用が支配的に作用していること,一方,2つの食用色素やSDBSの吸着量は無機塩の濃度に無関係であることから,吸着に対して,疎水的相互作用が大きな影響を与えていることが示唆された。また,糖やデンプンの共存下においてもSDBSに対して高い選択的吸着能を有することも明らかとなった。

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© 2000 一般社団法人 日本接着学会
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