2000 年 36 巻 9 号 p. 370-375
エポキシ系接着剤を用いた接着体を,室温硬化後,後硬化を行なった場合,室温硬化過程,昇温・冷却過程をへることになるが,その間の残留応力発生挙動は明確化されていない。さらにその後,機器が受けるであろう熱サイクル中の残留応力の変化についても明らかではない。本実験では,上記過程での残留応力発生挙動をバイメタル法により測定し,以下のことを明らかにした。樹脂は,カタログ上,室温硬化可能な2液エポキシ系接着剤を用いた。(1)後硬化時の昇温過程では,樹脂の熱膨張により室温硬化時の残留応力が減少し始めるが,未硬化分の反応開始にともない,再び増大し始める。(2)後硬化過程昇温時の樹脂の線膨張係数は,冷却時のそれよりも大きく,残留応力と樹脂温度の関係において,昇温時と冷却時に可逆性がない。(3)熱サイクル過程においては,樹脂の線膨張係数がほぼ一定となり,残留応力と樹脂温度の関係において,可逆性がみられる。