2000 年 36 巻 9 号 p. 376-381
ケイ素アルコキシドと水溶性高分子の相溶溶液から,相分離現象を利用して得たシリカ三次元網目構造体を用い,シリカと高分子がそれぞれ連続構造を持つ複合体に期待される特徴を調べるために,エポキシ樹脂を充てんした相互貫入型複合体(IPN)を作成し,熱機械的性質や熱的性質を調べた。シリカーエポキシ樹脂IPNは,エポキシ樹脂の転移温度以上でも高い貯蔵弾性率を示し,エポキシ樹脂の50-80倍の弾性率であった。また,シリカ相によってエポキシ樹脂が保護され,高温域に損失弾性率のピークをもつ複合体であった。シリカ相は,加熱によって結合する未反応基を含むため,低膨張率で熱収縮性を示した。