日本接着学会誌
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研究論文
ステアリン酸によるアルミナ表面の改質機構
岩蕗 仁福崎 智司永田 員也
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2004 年 40 巻 2 号 p. 44-50

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抄録

ステアリン酸によるアルミナ粒子の表面改質機構について,フーリエ変換赤外(FT-IR)分光分析による調査を行った。吸着されたステアリン酸の逆対称COO'伸縮振動とc=o伸縮振動の吸収帯は,ステアリン酸陰イオンが優先的にアルミナ表面へ吸着することを示している。アルミナの表面水酸基によるOH伸縮振動に帰属される吸収帯の強度は,coo-吸収帯の出現に伴って減少し,アルミニウムイオンに結合したOH基とステアリン酸陰イオンとの交換が認められた。対称および逆対称CH,伸縮振動の吸収帯は,ステアリン酸吸着量の増加に伴って,単分子層吸着が飽和するまで低波数側にシフトした。このことは,吸着されたステアリン酸の炭化水素鎖のコンホメーションがゴーシュからトランス・ジグザク構造に変化することを示唆している。CH2はさみ振動による吸収は,単分子層の形成までは一本であり,吸着されたステアリン酸とステアリン酸陰イオンの炭化水素鎖のサブセルは六方晶系であることを示している。

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© 2004 一般社団法人 日本接着学会
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