日本接着学会誌
Online ISSN : 2187-4816
Print ISSN : 0916-4812
ISSN-L : 0916-4812
研究論文
エポキシ樹脂組成物における電子構造と分子配向性および半導体封止材料への応用
市川 功榎本 香津子内田 健
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 40 巻 2 号 p. 51-57

詳細
抄録

現在,半導体封止材料のマトリックスレジンとして注目されているビフェニル分子は,多くの汀電子をもつ分子である。これをエポキシ樹脂硬化物中に導入すると,汀電子を仲介としたフレキシブルな相互作用により平面構造を有する分子が積層し,外界からの刺激に対して分子平面がスライドし系内部に発生する応力を緩和させることができる。そこで我々はいくつかの骨格を有するマトリックスレジンにおいて,その電子状態を分子軌道法より求め,これらを用いた硬化物の分子配向性をXRDにより定迩化し機械特性を測定し比較した。その結果,冗砺子密度の高いものを反応物として使用すると,分子配向性が高くゴム領域での弾性率が低く線膨張の小さい硬化物を得ることができた。またこれを半導体封止材料に応用したとき,半導体パッケージ内部に存在する金属フレームー封止材界面において高い接着性を有し,しかも熱刺激により発生する応力を低減させ,これまでにない高い耐IKリフロー‘性を発現するに至った。

著者関連情報
© 2004 一般社団法人 日本接着学会
前の記事 次の記事
feedback
Top