2006 年 42 巻 6 号 p. 224-230
単官能エポキシを添加した数種のエポキシ接着剤組成について,アルミニウム被着体へのせん断接着強さを評価し,その接着強さ発現機構を添加剤の極性や接着層の残留内部応力との関連にて考察した。イミド骨格を有する高極性単官能エポキシ(グリシジルフタルイミド:GPI)の添加により,ビスフェノールA型エポキシ樹脂/アルミニウム被着体の引張りせん断接着強さが向上した。別の単官能エポキシであるt-ブチルフェニルグリシジルエーテルを添加した系では同様の効果は認められず,単官能骨格導入による残留内部応力の低下のみではこの現象を説明できない。FT-IR解析を行ったところ,GPI添加系の場合,イミド骨格(カルボニル基)が接着界面近傍に高濃度に存在することが知られた。高極性を有するGPIは高極性表面を持つ金属被着体との親和性が高く,被着体表面近傍に硬化中に引きよせられ,両者の引力的相互作用により接着強さ向上をもたらしたと考えられる。