日本接着学会誌
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技術論文
アクリルエマルション型粘着剤における臨界表面張力の経時的挙動
谷中 一朗木賀 大悟堀 成人竹村 彰夫小野 拡邦
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2006 年 42 巻 8 号 p. 317-322

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抄録

ロジン系タッキファイヤーが配合されたエマルション型アクリル系粘着剤を塗布した粘着テープをステンレス板に貼り付けて保存した場合の粘着剤の臨界表面張力 (γc)の経時的な変化を測定した。タッキファイヤーを含まない系では長期保存により,γcは経時的に著しく上昇する傾向があり,特に,高温保存する場合にその傾向は顕著であった。タッキファイヤーを含む系統では,23℃の保存ではγcは経時的にほぼ一定値を取るが,70℃の保存ではγcが経時的に上昇することが観察され,タッキファイヤー配合量が異なる粘着剤であってもγcは約22mN/mに収束する可能性を示唆した。また,高温長期保存でのγcの経時的な上昇と表面層タッキファイヤー濃度の経時的な上昇との間に高い線形性を確認し,タッキファイヤーの表面層へのマイグレーションのドライビングフォースは,粘着剤と被着体との表面エネルギーの最小化による作用であると結論づけた。

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© 2006 一般社団法人 日本接着学会
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