2005 年 42 巻 8 号 p. 323-328
木材とレゾルシノールとの加溶媒分解反応により得られる液化木材を前駆体として合成した木材エポキシ樹脂の接着性能を評価した。鋼板を被着体とした場合,木材エポキシ樹脂の引張せん断接着強さはビスフェノールA型エポキシ樹脂に及ばないが,木材単板を被着体とした場合は逆に,木材エポキシ樹脂はビスフェノールA型エポキシ樹脂の約2倍の引張せん断接着強さを発現した。破壊モード観察の結果,被着体木材内での破壊が主に生じており,木材エポキシ樹脂が木質バイオマスとの良好な接着性を有することがわかった。このバイオマス接着性の応用展開として,木材エポキシ樹脂をマトリックス材とし亜麻繊維を強化材とするバイオマス複合材を調製した。その破断面からも,木材エポキシ樹脂特有の植物繊維への高接着性が認められ,高性能バイオマス複合材創出への糸口を見いだした。