抄録
集成材用1液湿気硬化型ポリウレタン接着剤(PU)の動的粘弾性と広い温度領域にわたる木材接着強度を測定し,さらに水中における接着剤の物性と耐水接着性との関係を検討し,以下の結果が得られた。0~170℃の動的粘弾性測定からPUはガラス転移温度が明確でなく,ガラス転移温度前後の貯蔵弾性率(E')の変化が緩やかであった。0~150℃のせん断接着強さは,構造集成材用水性高分子イソシアネート接着剤とほぼ同等であったが,レゾルシノール樹脂接着剤と比較すると常温以上では17%程度低かった。水浸漬後のPUフィルムの動的粘弾性測定から,常温付近でのE'は全乾時より若干低い程度であったが,80℃付近では約1/3であった。圧締圧を高くした場合や高周波加熱の場合は,1週間養生すれば常態でJAS規格を満たした。減圧加圧注水浸せきおよび煮沸繰り返し促進処理後のブロックせん断試験においてマカンバ集成材の木部破断率がほとんど発現しなかった。これは,促進処理することで接着剤層が水分を吸水して膨張することが原因と考えられる。