日本接着学会誌
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研究論文
スギフレークチップを表層に用いた3層パーティクルボードの圧縮比および細孔構造が材質に及ぼす影響
瓦田 研介鈴木 吉助斉藤 吉之飯田 孝彦田村 靖夫
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2008 年 44 巻 12 号 p. 451-457

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抄録
軽量・軟質のスギ間伐材から調製したフレークチップを表層に用いて表層圧縮比の異なる3層パーティクルポードを調製し,表層圧縮比および細孔構造が材質に及ぼす影響について調べた。その結果,目標ボード密度や表層比率が大きくなると表層圧縮比も高くなるが,芯層圧縮比はあまり変化しなかったことから,表層に配置された低密度のスギフレークチップは熱圧締時に負荷された圧力を速やかに緩和していることが推察された。また,表層圧縮比が高くなると曲げ強さ,湿潤時曲げ強さおよび吸水厚さ膨張率が大きくなることがわかった。水銀圧入法によりボード表層の細孔分布を調べた結果,熱圧締時に高い圧縮力がチップに負荷されると仮道管が変形して負荷された圧力を緩和するが,細孔は完全には閉塞せず,1㎛以下の細孔が開口しているため圧縮比が高くなっても十分吸水でき,吸水厚さ膨張率の原因であるスプリングバックを引き起こしていると考えられた。
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© 2008 一般社団法人 日本接着学会
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