日本接着学会誌
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研究論文
ポリプロピレン複合材料における分散相とそのモルフォロジーが力学特性に及ぼす影響
日笠 茂樹永田 員也中村 吉伸
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2010 年 46 巻 2 号 p. 40-52

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抄録
ポリプロピレン(PP)/エラストマー/フィラー3元複合材料のモルフォロジーと力学特性の関係について検討した。フィラーとして平均粒子径160nmの炭酸カルシウムを用いた。エラストマーとしてポリスチレン-block-ポリ(エチレン-ブテン)-block-ポリスチレントリブロック共重合体(SEBS)を用いた場合は,PPマトリックス中にフィラーとSEBS粒子がそれぞれ独立して分散した独立分散モルフォロジーを形成し,エラストマーとしてカルポキシル変性SEBS(C-SEBS)を用いた場合は,フィラーがC-SEBSに包含されたコアーシェル粒子分散モルフォロジーを形成した。弾性率は,PP/SEBS/フィラー系では,加成則に基づく拡張Lewis-Nielsen式, PP/C-SEBS/フィラー系では,エラストマーが内包フィラーに補強されることを考慮した修正Nielsen式による予測値と一致した。引張降伏応力は, PP/SEBS/フィラー系では, Pkanzsky式からの予測値と一致した。しかし, PP/C-SEBS/フィラー系ではPkanzsky式からの予測値よりもやや高かった。これは,フィラーの一部がC-SEBSに内包されるためである。独立分散モルフォロジーの場合,アイゾット衝撃強度はフィラーの添加によって大きく向上した。破壊表面の観察から,衝撃時にノッチ近傍でフィラーの周囲にボイドが形成されて歪みの集中が緩和されるためであることが分った。
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© 2010 一般社団法人 日本接着学会
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