抄録
粘着剤の力学特性の中でも最も基本的な粘弾性特性に着目して,その大変形挙動をオイラー型解法でシミュレーションするための手法について述べる。物体の大変形を数値シミュレーションするためには,計算メッシュを物体の変形に追従させるラグランジェ型解法と計算メッシュを空間に固定して物体を変形させるオイラー型解法の2つがある。これまで粘着剤の変形解析には主にラグランジェ型解法が用いられてきたが,計算メッシュの歪みから大変形領域ではシミュレーション不能となる場面が多くあった。本報では粘弾性体の大変形解析に対してオイラー型解法を適用することにより,これまで困難であった大変形シミュレーションが可能となることを例題計算を通して示す。