日本接着学会誌
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研究論文
PE/PP多層成形における剥離接着強さ発現メカニズム —界面接着性向上に伴うバルク樹脂の変形モード変化—
坂木 博之松田 聡岸 肇
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2012 年 48 巻 2 号 p. 58-62

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抄録
異種高分子多層成形体において,層間の反応をもたらす官能基量が剥離接着強さに与える影響について検証した。まず,エチレン—グリシジルメタクリレート(GMA)共重合体(PE-GMA)とポリプロピレン(PP)との多層積層体の剥離接着強さを評価した。その際,同じPE-GMAシートに対し,PPシート表面に酸素プラズマ処理を施すことで官能基量を変え,多層積層体の剥離接着強さとの関係を評価した。また,剥離面のSEM観察を行い,剥離接着強さの発現機構について考察した。反応サイト数(化学結合数)の増加に伴い,PE/PP界面接着性は向上する。その結果,力学的拘束を受ける界面近傍のPEに空洞化を伴う膨張的塑性変形が発生することがわかった。界面接着向上により増加したPEのバルク塑性変形は,PE-PP間の剥離接着強さ向上をエネルギー的に説明する因子として重要である。
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© 2012 一般社団法人 日本接着学会
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