2012 年 48 巻 9 号 p. 308-313
粘着剤を2種の剥離フィルムで挟まれた構造の基材レス粘着シートは,耐溶剤性,耐熱性に劣るフィルムに,粘着剤のみがシート化され貼り合わせることが出来るため,テレビや携帯電話に代表されるディスプしイを製造する際の偏光板等とガラスを積層するために使用されている。粘着剤と剥離剤を剥離する剥離力は,粘着剤種により変動するため,弾性率を変化させた粘着剤を用いた基材レス粘着シートにおいて,剥離角度や剥離速度の条件を変動させ剥離力を測定した。その結果より,粘着剤と剥離剤の界面の剥離エネルギを解析した。また,剥離角度を変更した条件で剥離先端部の可視化を光学顕微鏡で行うことで,剥離時の粘着剤の変形を観察した。これらの結果を併せることで,粘着剤の弾性率の違いによる剥離のメカニズムを予測した。