日本接着学会誌
Online ISSN : 2187-4816
Print ISSN : 0916-4812
ISSN-L : 0916-4812
研究論文
アクリル系粘着剤の力学特性におよぼす架橋度と試験速度の影響
野田 昌代高倉 和希岡田 駿藤井 秀司中村 吉伸浦濱 圭彬
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 53 巻 8 号 p. 268-275

詳細
抄録

架橋アクリル酸n-ブチル- アクリル酸ランダム共重合体をモデル粘着剤として引張試験を行い,応力- ひずみ曲線から算出した100%ひずみ時の応力である100%モジュラスの架橋剤濃度と引張速度依存性を検討した。良溶媒であるトルエンへの平衡膨潤試験の結果から,架橋剤濃度の増加にともなって架橋度が上昇していた。100%モジュラスは,架橋度と引張速度に依存して上昇した。これに対して,動的粘弾性測定によるゴム状平坦領域の貯蔵弾性率には,架橋度の影響が見られなかった。粘着特性としての90°ピール強度は,凝集破壊の範囲では架橋剤濃度とピール速度に依存して上昇した。つまり,100%モジュラスと相関があった。界面破壊の範囲では,ピール速度に依存して上昇したが,架橋剤濃度の増加で低下した。100%モジュラスの上昇が界面の密着性を低下させるためである。

著者関連情報
© 2017 一般社団法人 日本接着学会
前の記事 次の記事
feedback
Top