2017 年 53 巻 8 号 p. 262-267
エポキシ中にて,それぞれ合成したポリウレタンエラストマー( PUE) と高ハードセグメント含有ポリウレタン( ポリウレタン樹脂:PUR) の混合物を調製し,その混合比率及び添加量と新規なPUs( PUR/PUE混合物)変性エポキシ硬化物の各種物性との関係を検討した。PUEは分子量2000のポリオキシテトラメチレングリコール( PTMG),4,4'-ジフェニルメタンジイソシアナート( MDI) 及び1,4-ブタンジオール( BD) を用い,PURには分子量1000 のPTMG を用い,MDI とBD から成るハードセグメントをポリウレタンの化学構造中に含有させた。SEM 観察の結果,PUE 単独系ではPUR 単独系よりPU 粒子径が大きく,添加量の増加とともに共連続相となるのに対して,両者の混合系では海島型のミクロ相分離構造を示し,すべての試料でPU 粒子が微細化した。各種物性に対するこれらの影響は,はく離強さにおいて,いずれも20 ~ 30phr 添加系で大きく増大し,特に混合比率が1/1 系において顕著な増大が認められた。また,他の機械的物性においては高添加領域でも物性値があまり低下せず,さらにこれらは混合比率にあまり依存しないことを確認した。