2018 年 54 巻 8 号 p. 287-293
架橋剤濃度を変化させたアクリル酸n-ブチル- アクリル酸ランダム共重合体( アクリル酸含有量:5wt%) のJIS Z 0237 に基づく傾斜式ボールタック試験( J. Dow 法) を行った。斜面上を転がるボールの運動方程式から,以下の摩擦係数μ ׳を導いた。
L' は助走区間の距離,L は粘着剤面との接触から停止までの距離である。μ ׳ は粘着剤面との接触開始点でボールが持っていた運動エネルギーと位置エネルギーを,停止までに粘着剤が摩擦で吸収するエネルギーの大きさの目安である。μ ׳ は特定の架橋剤濃度で大きかった。プローブタック試験では,架橋剤濃度の増加とともにタックは低下し,両試験で傾向が異なった。粘着強さは,被着体への濡れ性と粘着剤自身の凝集力に支配されるが,プローブタックは主に濡れ性を評価し,ボールタックは濡れ性に加えてボールを止めるときに凝集力も影響するためであると考えられる。