2020 年 56 巻 10 号 p. 389-396
ポリテトラフルオロエチレン( polytetrafluoroetheylene : PTFE) は,異種材料との接着が困難であり,接着する際には表面改質が必須となる。エコフレンドリーな表面改質方法としてプラズマ処理中に同時に加熱する「熱アシストプラズマ処理」が開発されたが,処理面積を拡大( シート幅を増加) した場合に,加熱によってPTFE シートが熱膨張で波打って電極に接触してしまい,均一な処理が実施できなくなる。この問題の解決に向けて,本研究では,電極- 試料間距離を広げて熱アシストプラズマ処理を行った。ヒーター加熱による熱アシストプラズマ処理では電極- 試料間距離を広げると接着強度が大きく低下したが,高投入電力でプラズマの自然昇温による熱アシストプラズマ処理では電極- 試料間距離を広げても高い接着強度を維持できた。このことから,プラズマの自然昇温による熱アシストプラズマ処理を利用することで熱膨張の問題を解決できることがわかった。