2021 年 57 巻 4 号 p. 128-138
トリアルコキシシラン類のゾル - ゲル反応により得られる T( RSiO1.5) 単位で構成されるポリシルセスキ
オキサン( PSQ) は優れた熱特性,電気特性,光学特性を有することから注目され,工業的に様々な応用展
開が行われている。その物性機能は分子レベルの構造が重要であることが指摘されているが,分子レベル
での完全な構造制御は達成されておらず,構造と物性との関係に未だ不明な部分が多い。本稿では,分子
構造が制御された多面体シルセスキオキサン( POSS) の代表例である T8 と称されるかご型オクタシルセス
キオキサン (RSiO1.5)8 を元素ブロックとした新素材開発に関して筆者らの研究成果について紹介する。構造
の明確なかご構造のみで形成されるシルセスキオキサン材料を目的とし,メチレン鎖等でPOSS 同士を結
合させたダンベル型やスター型POSS 誘導体を設計した。その結果,POSS 化合物単独での透明材料化に初
めて成功し,かご構造のみで構成されるPSQ の屈折率評価を行った。また,POSS の頂点が一つ欠損した
構造である不完全かご型シルセスキオキサンは同じ置換基を有する完全かご型シルセスキオキサンと比べ
て著しく結晶性が低下するが,その耐熱性はかご構造と同程度であることを初めて明らかにした。さらに,
一置換イソブチルPOSS の選択的コーナーオープニング法とコーナキャッピング法を併用した合成法によ
り,アミノプロピル基を対角に二つ導入したビスアミノPOSS モノマーの合成を行なった。これらを用い
た主鎖型T8 元素ブロック高分子についても紹介する。