日本接着学会誌
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解説 26.極限・特殊環境下で使用される接着剤と高分子材料
(1)航空宇宙機用高耐熱性ポリイミド複合材料の開発
宮内 雅彦
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2025 年 61 巻 7 号 p. 193-199

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抄録

ポリイミドを母材樹脂とする炭素繊維複合材料( CFRP) は,従来,航空宇宙機用部材として使用されているアルミニウム,鉄,チタンなどの合金に代わる軽量材料として,多くの実用化研究がなされてきた。しかし,連続的に250℃を超える過酷な高温条件下で使用される複合材料の熱酸化安定性と成形加工性とを両立させるためのポリイミド母材樹脂の分子構造設計は困難であった。我々は,1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物( PMDA) と 2-フェニル-( 4,4’-ジアミノジフェニルエーテル)(2-Ph-ODA) から形成される非平面かつ非対称構造を有するフェニルエチニル( PEPA) 末端イミドオリゴマーの作製に成功した。このイミドオリゴマー樹脂は,300℃以上で優れた溶融流動性を示し,熱硬化後には350℃の高いガラス転移温度( 物理的耐熱性) と,550℃の高い 5%重量減少温度( 化学的耐熱性) を示すことを見出した。さらに驚くべきことに,硬化樹脂の破断伸びは極めて高い( 15%以上) 示すことが明らかとなった。本報告では,実用化に向けて,アミド酸オリゴマー(イミドオリゴマーの前駆体) 溶液を用いた炭素繊維織物プリプレグの加工,硬化前後のプリプレグ中のイミド樹脂の熱的挙動,室温および高温における本ポリイミドCFRP の優れた熱的および機械的特性の結果について紹介する。

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