2018 年 24 巻 1 号 p. 1_80-1_85
本作品は福岡県南部の筑後地方で地域産品を製造・販売する10社で構成される『ちっごたる』のブランド開発を行ったものである。この10社は〈小規模企業者〉〈作り手〉〈異業種〉の集団であることが特徴である。本ブランド開発では、文献等の情報からだけでは知り得なかった多くの現実的な課題や困難があった。ブランド開発の経験に乏しい〈小規模企業者〉〈作り手〉のモチベーションを維持し、活動を円滑に推進するためには、ブランド開発の過程で少しずつでもブランド化の効果が実感できることが重要であり、自分たちに無理なくできることから始める「スモール・ブランディング」という考え方での取組みが有効であった。また、〈異業種〉の集団でブランド化を図るには、商品そのものではなく、企業や商品を取り巻く環境の中から共通点を見出すことで、他が簡単に真似することができない独自の差別化ポイントになることが確かめられた。