抄録
社会に開かれた新たなものづくり技術であるデジタル・ファブリケーションを用いて、地域間連携と地域産業振興の促進が可能な木製椅子のデザイン開発を行った。ここでは、椅子の座面と背板の部材に日本全国に普及する規格材(胴縁)を用いることで、木材産地の選択(地域化)が可能な仕組みも同時に提案している。
この木製椅子のデザイン開発は、産官学が一体となって取り組んだもので、筆者らは企画からコンセプト立案、商品化に至る全過程を統括し、開発におけるトータルデザインを行った。未来の社会を支える子ども達が自身の手で完成させた椅子を通し、日本の木の文化、特に自身が生まれ育つ地域で生産された木の良さに触れながら日々成長していくことができるよう「木育」の観点を重要視しながらデザイン開発を行った。