障害科学研究
Online ISSN : 2432-0714
Print ISSN : 1881-5812
原著
運転時・歩行時の注意不全尺度の作成と信頼性・妥当性の検討
小菅 英恵熊谷 恵子
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2017 年 41 巻 1 号 p. 23-32

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抄録

車両の運転者や歩行者は、注意を働かせながら主体的に情報を収集しなければならない。多くの交通事故や道路交通違反の発生は、この注意機能の不全に起因している。 成人ADHD者や健常高齢者は特に注意不全が生じやすいが、彼らの運転時や歩行時 の注意不全に関わる特性は解明されていない。本研究では、これら特性解明のため定型発達成人の特徴と比較・照合可能なツールとして、運転時や歩行時の注意不全尺度を試作し、30代~50代の一般成人208名を対象に質問紙調査を実施した。その結果、 (1) 試作した尺度が、「注意の制御不全」「注意の変更機能」「覚醒水準の低下」「注意の転導性」の4 因子構造をもつこと、(2) 得られたα係数値から尺度の信頼性が示されたこと、(3) 各下位尺度得点と既存のDSM-5・ADHD項目の合算得点との間に理論上一致する相関パタンを示し妥当性が示されたこと、を確認した。本結果より、当該尺度の信頼性および妥当性は示されたと考えられる。

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