2017 年 41 巻 1 号 p. 231-241
本研究は、家庭への訪問教育担当教師の授業におけるPDCAサイクルに関わる基礎的な知見を得ることを目的とし、面接調査(研究Ⅰ) と授業分析(研究Ⅱ) から構成した。研究Ⅰでは、対象教師が家庭への訪問教育を初めて担当するにあたっての授業経験の再考過程を明らかにした。その結果、対象教師は、家庭への訪問教育の難しさを抱きながら、児童・ねらい・展開・指導法という観点から授業についての信念を問い直していた。研究Ⅱでは、研究Ⅰを受けた授業について、信念の問い直しとPDCAサイクルのつながりおよびPDCAサイクルの循環構造に関する事例的な資料を得た。その結果、対象教師は、児童を中心的な観点に据え、ねらいや展開、指導法の改善を一体的に図っていた。以上より、授業経験を再考する視点とPDCAサイクルの視点を用いることで、授業を通底する改善案が明確になることや、家庭への訪問教育の担当教師のPDCAサイクルは児童中心に展開されることが示唆された。