2018 年 42 巻 1 号 p. 81-90
本研究では、指を用いて引き算を行う自閉スペクトラム症児2 名に対してCover−Copy−Compare (以下、3C学習法) を用いた指導を行い、3C学習法が有効であるのかを検討した。また、3C学習法が計算の自動化を促進する機能をもつのかを検討することを目的とした。ベースラインでは、対象児は計算を行うことが求められた。介入では、3C学習法を用いた。プローブではベースラインと同じ手続きで行い、指導効果が維持するかどうかを維持期で評価した。その結果、3C学習法を行うことで、両対象児とも指を使わず計算課題の答えを想起して表出することができる様子が見られた。一方で、維持については、対象児によって違いが見られた。以上の結果から、3C学習法が計算課題の自動化を促す指導機能をもつこと、対象児の認知特性によっては、指導の効果に違いが見られることが示唆された。今後、対象児の特性に合わせた指導法を検討する必要性が挙げられた。